転職面接で退職理由を聞かれたら?好印象を与える答え方と例文10選
「前の会社を辞めた理由は何ですか?」
転職面接で100%聞かれるこの質問。
正直に答えていいのか、嘘をついた方がいいのか、悩みますよね。
結論から言います。
嘘はダメ。でも、本音をそのまま言うのもダメ。
大事なのは「言い換え」です。
ネガティブな退職理由を、ポジティブな転職理由に変換する。
これができるかどうかで、面接の結果は大きく変わります。
この記事では、退職理由の正しい伝え方を、具体的な例文とともに徹底解説します。
【データ】みんなの退職理由ランキング(2024年最新)
まず、みんながどんな理由で転職しているのかを見てみましょう。
退職理由ランキングTOP10
dodaの調査(2023年7月〜2024年6月)によると:
| 順位 | 退職理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 33.6% |
| 2位 | 社内の雰囲気が悪い | 26.9% |
| 3位 | 人間関係が悪い/うまくいかない | 26.6% |
| 4位 | 労働時間に不満(残業が多い) | 20.3% |
| 5位 | 会社の評価方法に不満があった | 19.5% |
| 6位 | 昇進・キャリアアップが望めない | 18.8% |
| 7位 | 肉体的・精神的につらい | 18.5% |
| 8位 | スキルアップしたい | 17.2% |
| 9位 | 尊敬できる人がいない | 16.8% |
| 10位 | ハラスメントがあった | 15.2% |
「給与」「人間関係」「労働環境」が上位を占めています。
本音と建前にはギャップがある
エン・ジャパンの調査(2024年)によると:
| 質問 | 結果 |
|---|---|
| 会社に本当の退職理由を伝えなかった | 52%(半数以上) |
| 伝えなかった理由 | 「話しても理解してもらえないと思った」が最多 |
退職理由には「本音」と「建前」があるということです。
会社に伝えた退職理由(建前)
- 別の職種にチャレンジしたい(22%)
- 家庭の事情(21%)
- キャリアアップしたい(18%)
本当の退職理由(本音)
- 人間関係が悪かった(25%)
- 給与・評価に不満(17%)
- 残業・休日出勤が多かった(16%)
面接でも、本音をそのまま伝える必要はありません。
【基本】面接官が退職理由を聞く理由
そもそも、なぜ面接官は退職理由を聞くのでしょうか?
理由①:すぐ辞めないか確認したい
企業は採用に多大なコストと時間をかけています。
「この人、うちに入ってもまた同じ理由で辞めるんじゃないか?」
これが面接官の最大の懸念です。
理由②:自社とのマッチ度を見たい
退職理由から、応募者が仕事に何を求めているかがわかります。
例えば:
- 「残業が嫌で辞めた」→残業が多い会社には合わない
- 「給与が低くて辞めた」→うちの給与水準で満足できるか?
退職理由と自社の環境がマッチするかを見ているのです。
理由③:人柄・考え方を見たい
退職理由の語り方で、応募者の人柄や考え方が見えます。
- 前職の悪口ばかり言う人 → 「他責思考が強い」
- 自分の成長を語れる人 → 「前向きな人」
伝え方ひとつで、印象は大きく変わります。
【5つのポイント】退職理由の正しい伝え方
退職理由を伝えるときは、以下の5つを意識しましょう。
ポイント①:嘘をつかない
嘘の退職理由を作り上げるのはNGです。
理由
- 深掘りされるとボロが出る
- 入社後に嘘がバレると信頼を失う
- 本当の問題が解決されないまま入社してしまう
嘘はつかない。でも、全てを正直に言う必要もない。
ポイント②:前職の悪口を言わない
「上司が最悪だった」「会社がブラックだった」
たとえ事実でも、悪口はNGです。
面接官の印象
- 「この人は何でも人のせいにする」
- 「うちに入っても同じことを言うのでは」
ネガティブな事実は、客観的に・簡潔に伝えましょう。
ポイント③:ポジティブに変換する
退職理由(過去)を、転職理由(未来)に変換します。
| ネガティブな本音 | ポジティブな変換 |
|---|---|
| 給与が低かった | 成果を正当に評価される環境で働きたい |
| 残業が多かった | メリハリのある働き方で成果を出したい |
| 人間関係が悪かった | チームで協力して大きな成果を出したい |
| 仕事がつまらなかった | より挑戦的な仕事で成長したい |
「〇〇が嫌だった」→「△△を実現したい」に変換する。
ポイント④:志望動機との一貫性を持たせる
退職理由と志望動機はセットで考えましょう。
良い例
「評価制度に不満があった」→「成果主義の御社で正当に評価されたい」
悪い例
「評価制度に不満があった」→「御社の福利厚生に惹かれた」
退職理由→転職理由→志望動機が一本の線でつながることが大切。
ポイント⑤:自分で解決しようとした行動を伝える
「問題に対して、自分は何をしたか」を伝えると説得力が増します。
例
「残業を減らすために業務効率化を提案しましたが、会社の方針として受け入れられませんでした」
「改善しようとしたけど、限界があった」というストーリーが効果的。
【例文10選】退職理由別の答え方
ここからは、退職理由別の具体的な回答例を紹介します。
①給与が低かった
NG例
「給料が安すぎて生活できないので辞めました」
OK例
「前職では5年間、売上目標を毎年達成してきましたが、給与体系が固定されており、成果が報酬に反映されにくい環境でした。より実績を正当に評価していただける環境で、モチベーション高く働きたいと考え、転職を決意しました。御社のインセンティブ制度に魅力を感じています」
ポイント
- 具体的な実績を入れる
- 「評価されたい」という前向きな姿勢に変換
②人間関係が悪かった
NG例
「上司がパワハラ気質で、一緒に働くのが限界でした」
OK例
「前職は個人プレーが中心の職場でしたが、私自身はチームで協力しながら大きな成果を出すことにやりがいを感じるタイプです。より一体感のあるチームで働きたいと思い、転職を決意しました」
ポイント
- 悪口を言わない
- 「自分が求める働き方」に変換
③残業が多かった
NG例
「毎日終電帰りで、体を壊しそうでした」
OK例
「前職では月平均60時間以上の残業があり、業務効率化を提案しましたが、人員体制の関係で改善が難しい状況でした。限られた時間で成果を出す働き方を実現したいと考え、転職を決意しました」
ポイント
- 具体的な数字を入れる
- 「効率的に働きたい」という前向きな姿勢に
④キャリアアップしたかった
OK例
「前職では3年間、Webマーケティングを担当してきました。スキルが身につく一方で、業務範囲が限定されており、より幅広い領域に挑戦したいという思いが強くなりました。御社ではSNS運用から広告運用まで一貫して担当できると伺い、成長できる環境だと感じています」
ポイント
- これは元々ポジティブな理由
- 「御社で何を実現したいか」まで繋げる
⑤会社の将来性に不安があった
NG例
「会社がいつ潰れるかわからない状態だったので…」
OK例
「業界全体の縮小傾向もあり、会社の事業の方向性と自分のキャリアプランに差が生じてきました。今後成長が見込める業界で、長期的にキャリアを築いていきたいと考え、転職を決意しました」
ポイント
- 会社批判ではなく「業界の動向」として客観的に
- 「長期的なキャリア」への意欲を示す
⑥仕事内容が合わなかった
NG例
「やりたい仕事ができなくて、毎日つまらなかったです」
OK例
「前職では事務作業が中心でしたが、仕事を進める中でお客様と直接関わる営業職に興味を持つようになりました。人と接することが好きな自分の強みを活かせる仕事に挑戦したいと考え、転職を決意しました」
ポイント
- 「つまらなかった」ではなく「興味が変わった」
- 新しい仕事への意欲を示す
⑦評価制度に不満があった
NG例
「どんなに頑張っても、年功序列で評価されないので辞めました」
OK例
「前職は年功序列の評価制度で、成果よりも勤続年数が重視される傾向にありました。自分の実績を正当に評価していただける環境で、より高いモチベーションで働きたいと考え、転職を決意しました」
ポイント
- 「不満」ではなく「自分に合った環境を求めて」
- 「モチベーション高く働きたい」という前向きさ
⑧体調を崩した
OK例
「長時間労働が続き、体調を崩してしまいました。回復後、改めて自分の働き方を見直し、心身ともに健康に働ける環境で長く貢献したいと考えるようになりました。現在は完全に回復しており、問題なく業務に取り組めます」
ポイント
- 正直に伝えてOK
- 「回復済み」であることを必ず伝える
- 今後の前向きな姿勢を示す
⑨会社都合(リストラ・倒産)
OK例
「事業縮小に伴う人員整理で退職となりました。突然のことでしたが、これを機に自分のキャリアを見つめ直し、これまでの経験を活かしながら新しい環境でチャレンジしたいと考えています」
ポイント
- 会社都合は正直に伝えてOK
- 前向きな姿勢でまとめる
⑩ハラスメントがあった
OK例
「前職では職場環境に課題があり、改善を求めましたが難しい状況でした。心身の健康を保ちながら、長期的に貢献できる環境で働きたいと考え、転職を決意しました」
ポイント
- 「ハラスメント」という言葉は使わなくてOK
- 詳細を語りすぎない
- 「長期的に働きたい」という意欲を示す
【NG集】これだけは避けたい退職理由の伝え方
以下のような伝え方は絶対にNGです。
NG①:前職の悪口
「上司が無能だった」「会社がブラックだった」
→ 「他責思考」「文句が多い人」と思われる
NG②:曖昧すぎる理由
「なんとなく合わなかった」「飽きた」
→ 「考えが浅い」「またすぐ辞めそう」と思われる
NG③:嘘の理由
「家庭の事情で…(嘘)」
→ 深掘りされるとボロが出る。バレると信頼ゼロ
NG④:条件面だけの理由
「御社の方が給料が高いから」
→ 「もっと給料が高い会社があれば、そっちに行くのでは」と思われる
NG⑤:長すぎる説明
退職の経緯を延々と語る
→ 「この人、話が長い…」と思われる。簡潔に。
【実例】退職理由の成功・失敗体験談
成功例:ポジティブ変換で内定獲得(28歳・女性)
本音の退職理由
上司のパワハラがひどく、毎日泣きながら帰っていた
面接で伝えた内容
「前職は個人で完結する業務が多く、一人で抱え込むことが多い環境でした。私はチームで協力しながら仕事を進めることにやりがいを感じるタイプなので、より一体感のある環境で働きたいと思い、転職を決意しました」
結果
内定獲得。面接官から「前向きな姿勢がいいね」と言われた。
失敗例:本音をそのまま伝えて不採用(31歳・男性)
面接で伝えた内容
「正直に言うと、上司と合わなかったんです。仕事の進め方で意見が食い違うことが多くて、ストレスで…。あと、残業も多くて体調を崩しそうで…」
結果
不採用。後から振り返ると「愚痴っぽく聞こえたと思う」とのこと。
教訓
本音でも「言い方」を工夫しないと、マイナス印象になる。
【チェックリスト】退職理由を整理しよう
面接前に、以下の項目を整理しておきましょう。
退職理由を考えるステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① | 本当の退職理由を書き出す |
| ② | ネガティブな言葉をポジティブに変換する |
| ③ | 志望動機との一貫性を確認する |
| ④ | 1分以内で話せるようにまとめる |
| ⑤ | 声に出して練習する |
退職理由チェック
| チェック | 項目 |
|---|---|
| ☐ | 前職の悪口になっていないか |
| ☐ | ポジティブな表現に変換できているか |
| ☐ | 志望動機とつながっているか |
| ☐ | 具体的なエピソードが入っているか |
| ☐ | 長すぎないか(1分以内) |
【Q&A】退職理由のよくある質問
Q. 短期離職の場合、どう説明すればいい?
A. 正直に、でも前向きに伝えましょう。
「入社前に聞いていた業務内容と実際の業務に大きな乖離があり、早期にキャリアの方向性を見直すことにしました。今回の転職活動では、業務内容を十分に確認した上で判断しています」
Q. 退職理由を聞かれなかったら、自分から言うべき?
A. 聞かれなければ言わなくてOKです。
ただし、履歴書に退職理由欄がある場合は記載が必要です。
Q. 「他に理由はありませんか?」と深掘りされたら?
A. 一貫性を保ちつつ、補足しましょう。
「一番の理由は先ほどお伝えした通りですが、加えて〇〇という点もありました」
無理に新しい理由を作る必要はありません。
Q. 面接と履歴書で退職理由は変えていい?
A. 一貫性が大切です。
面接で話す内容と履歴書の内容が矛盾しないように注意。
Q. 本当にひどい会社だった場合は?
A. それでも悪口はNGです。
客観的な事実(残業時間、離職率など)を簡潔に伝え、「だからこそ御社を志望した」という流れに。
まとめ:退職理由は「言い換え」で決まる
長い記事を読んでいただき、ありがとうございます。
退職理由を伝えるときのポイント
- 嘘はダメ。でも本音そのままもダメ
- ネガティブ→ポジティブに変換する
- 前職の悪口は絶対に言わない
- 志望動機との一貫性を持たせる
- 「改善しようとした行動」を伝えると説得力UP
- 1分以内で簡潔にまとめる
退職理由は、あなたの「考え方」「人柄」を見せる場面です。
「〇〇が嫌だった」ではなく、「△△を実現したい」。
この言い換えができれば、面接官の印象は大きく変わります。
あなたの転職がうまくいくことを願っています。
よくある質問(FAQ)
Q. 退職理由と転職理由は違う?
A. 違います。退職理由は「辞めたきっかけ」、転職理由は「次に何を実現したいか」。面接では後者を中心に話しましょう。
Q. 複数の退職理由がある場合は?
A. 一番説明しやすいものを選びましょう。全てを話す必要はありません。
Q. 「特に理由はない」はあり?
A. NGです。「考えが浅い」と思われます。必ず何かしらの理由を準備しましょう。
Q. エージェント経由の場合、退職理由は伝わってる?
A. 基本的に伝わっていますが、面接では改めて自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

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