転職の内定辞退の伝え方|電話・メール例文と承諾後でも辞退できる理由
「内定をもらったけど、辞退してもいいのかな…」
「内定辞退の連絡って、電話とメールどっちがいい…?」
「一度承諾した後でも辞退できるの…?」
こんな悩みを抱えていませんか?
結論から言うと、内定辞退は法的に問題なく、承諾後でも辞退は可能です。
ただし、企業に迷惑をかけることになるため、できるだけ早く、誠意を持って連絡することが大切です。
この記事では、内定辞退の正しい伝え方から、電話・メールの例文、承諾後の辞退が法的に認められる理由、内定承諾前に確認すべきことまで徹底解説します。
【データで見る】内定承諾の実態
まず、転職における内定承諾の実態をデータで確認しましょう。
内定承諾率は約90%
中途採用の内定承諾率(マイナビ「中途採用状況調査2025年版」)
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| 中途採用の内定承諾率 | 90.82% |
| (参考)新卒の内定承諾率 | 約53.6% |
出典:マイナビ「中途採用状況調査2025年版」
中途採用では、約9割が内定を承諾しています。新卒(約53%)と比較して非常に高い承諾率です。
これは、転職者は「本当に入りたい会社」に絞って応募しているケースが多いためと考えられます。
内定承諾までの期間は「5日以内」が7割
内定から承諾までにかかった日数(ビズリーチ調査)
| 期間 | 割合 |
|---|---|
| その場で承諾・当日中 | 約33%(年収500万円未満の層) |
| 5日以内 | 約70% |
| 1週間以内 | 約85% |
| 2週間以上 | 約15% |
出典:ビズリーチ「選考プロセスの実態調査」
多くの転職者が5日以内に内定を承諾しています。企業側の回答期限が1〜2週間であることが多いため、それまでに決断する人がほとんどです。
【体験談】内定辞退を経験した人のリアル
Aさん(29歳男性・エンジニア):第一志望からの内定で他社を辞退
Aさんは3社から内定をもらいましたが、第一志望の企業に決めるため、2社に内定辞退の連絡をしました。
「正直、辞退の連絡をするのは気が重かったです。でも、採用担当の方には丁寧にお詫びを伝え、『他社への入社を決めました』と正直に話しました。意外にも、『ぜひ頑張ってください』と温かい言葉をいただけました」
ポイント:早めに連絡し、誠意を持って伝えれば、円満に辞退できることが多い。
Bさん(32歳女性・営業職):承諾後に辞退した経験
Bさんは一度内定を承諾しましたが、その後、現職での昇進が決まり、転職を取りやめることにしました。
「承諾後だったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。すぐに電話で連絡し、直接お詫びに伺いたいと申し出ました。担当者の方は残念そうでしたが、『ご事情はわかりました』と理解してくださいました」
学び:承諾後でも辞退は可能。ただし、早めの連絡と誠意ある対応が必須。
内定承諾の期限はどのくらい?
一般的な回答期限は「1〜2週間」
転職の場合、内定承諾の回答期限は1〜2週間が一般的です。
新卒採用よりも短い傾向にあり、企業側も「早く入社してほしい」という意向があります。
企業が設定する回答期限の目安
| 期限 | 詳細 |
|---|---|
| 即日〜3日以内 | ベンチャー企業や急募ポジションに多い |
| 1週間 | 最も一般的 |
| 2週間 | 比較的余裕がある |
| 1ヶ月 | まれ(大手企業や特殊なケース) |
期限の延長は可能
「他社の選考結果を待ちたい」などの理由で、回答期限の延長を申し出ることは可能です。
延長できる目安:2〜3週間、最長でも1ヶ月程度
延長交渉のポイント
- できるだけ早く連絡する(期限ギリギリはNG)
- 延長したい具体的な期間と理由を伝える
- 電話で連絡するのがマナー
- 「御社が第一志望」であることを伝える
期限延長の電話トーク例
「お世話になっております。内定をいただきました○○です。内定のご連絡、誠にありがとうございます。大変恐縮なのですが、回答期限を○月○日まで延長していただくことは可能でしょうか。現在、他社の最終面接の結果を待っている状況でして、その結果が出るのが○月○日の予定です。御社が第一志望であることに変わりはないのですが、後悔のない決断をしたいと考えております」
内定辞退の方法と例文
連絡方法は「電話」が基本
内定辞退の連絡は、電話が基本です。
連絡方法の優先順位
- 電話(最も誠意が伝わる)
- メール(担当者が不在の場合、電話後の確認として)
- 転職エージェント経由(エージェント利用の場合)
電話をかける時間帯
- 営業時間内(10:00〜12:00、14:00〜16:00が理想)
- 始業直後、終業間際、昼休みは避ける
内定辞退の電話での伝え方
電話トーク例(基本形)
お世話になっております。内定のご連絡をいただきました○○と申します。
採用担当の△△様はいらっしゃいますでしょうか。
―担当者に代わる―
お世話になっております。○○です。
この度は、内定のご連絡をいただきまして、誠にありがとうございます。
大変申し上げにくいことなのですが、検討の結果、この度は御社よりいただきました内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
転職に際し、今後のキャリアを真剣に考えたところ、別の企業とのご縁を感じ、そちらへの入社を決意いたしました。
貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり、大変申し訳ございません。
本来であれば直接お詫びに伺うべきところですが、取り急ぎお電話でご連絡を差し上げました。
内定辞退のメール例文
電話がつながらない場合や、電話後の確認としてメールを送る場合の例文です。
メール例文(基本形)
件名:内定辞退のご連絡【○○(氏名)】
○○株式会社
人事部 ○○様
お世話になっております。
内定のご連絡をいただきました、○○と申します。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
このようなうれしいお知らせをいただきながら、大変恐縮なのですが、
検討の結果、内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
転職活動を通じて、今後のキャリアについて真剣に考えた結果、
別の企業への入社を決意いたしました。
本来であれば直接お詫びに伺うべきところですが、
メールでのご連絡となりますことを、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
面接でお時間をいただきました○○様をはじめ、
採用にかかわってくださった皆様には、心より感謝しております。
最後になりますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
---
○○ ○○(氏名)
電話番号:xxx-xxxx-xxxx
メールアドレス:xxx@xxx.com
理由別の伝え方
内定辞退の理由は、詳細に説明する義務はありません。「検討の結果」程度でも問題ありません。
ただし、聞かれた場合は、角が立たない形で伝えるのがマナーです。
理由別の伝え方例
| 理由 | 伝え方 |
|---|---|
| 他社への入社を決めた | 「今後のキャリアを考えた結果、別の企業とのご縁を感じ、そちらへの入社を決意いたしました」 |
| 現職に残ることを決めた | 「内定をいただいたことをきっかけに今後のキャリアについて検討した結果、現職で引き続き挑戦することを決意いたしました」 |
| 家庭の事情 | 「家族の事情により、当初予定していた入社が困難な状況となりました」 |
| 労働条件の相違 | 「提示いただいた労働条件と、私の希望する条件に相違があり、辞退させていただきたく存じます」 |
NGな伝え方
- 「他社の方が年収が高かったので…」(失礼な印象)
- 「よく考えたら、やっぱり違うと思いました」(軽率な印象)
- 「特に理由はないのですが…」(不誠実な印象)
内定承諾後でも辞退できる?
結論:法的には辞退可能
内定承諾後でも、法的には辞退が可能です。
法的根拠
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| 民法第627条第1項 | 期間の定めがない雇用契約の場合、労働者はいつでも解約の申し入れが可能 |
| 憲法第22条 | 職業選択の自由が保障されている |
内定承諾書に「辞退する場合は違約金を支払う」などの条項があっても、労働基準法第16条により、そのような条項は無効とされます。
弁護士・藥師寺正典氏(doda法律レッスン監修)は、「内定辞退が違法となるケースは限定的。やむを得ない家庭の事情など、きちんと説明すれば損害賠償を請求される可能性は低い。ただし、できるだけ早く、誠意をもって会社に伝えるべき」と述べています。
損害賠償を請求されるリスクがあるケース
ただし、以下のような極端なケースでは、損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。
リスクがあるケース
- 入社日の直前(2週間を切った段階)での辞退
- 企業が入社を前提に多額の設備投資を行っていた場合
- 制服・備品等がすでに用意されていた場合
- 入社に向けて特別な研修を受けていた場合
実際に損害賠償を請求されるケースは極めてまれですが、企業に迷惑をかけることには変わりありません。できるだけ早く連絡することが大切です。
承諾後の辞退の伝え方
承諾後の辞退は、通常の辞退よりもより丁寧に、誠意を持って伝える必要があります。
電話トーク例(承諾後の辞退)
お世話になっております。○月○日に内定を承諾させていただきました○○です。
大変申し上げにくいのですが、諸般の事情により、
内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
一度は入社のお約束をさせていただいたにもかかわらず、
このようなご連絡となり、誠に申し訳ございません。
できれば直接お詫びに伺いたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。
ポイント
- 電話で連絡する(メールのみはNG)
- 可能であれば直接お詫びに伺う旨を伝える
- 理由を聞かれたら正直に、ただし角が立たない形で伝える
内定承諾前に確認すべきこと
内定を承諾した後で「こんなはずじゃなかった…」とならないために、承諾前に確認すべきポイントを解説します。
労働条件通知書で確認すべき項目
労働基準法第15条により、以下の項目は書面での明示が義務付けられています。
必ず確認すべき項目
| 項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 労働契約の期間 | 正社員か契約社員か、契約期間、更新条件 |
| 就業場所 | 配属先、将来の配置転換可能性(※令和6年4月から明示義務化) |
| 業務内容 | 具体的な仕事内容、将来の変更可能性 |
| 労働時間 | 始業・終業時刻、残業の有無、フレックスの有無 |
| 休日・休暇 | 年間休日数、有給休暇、その他休暇 |
| 賃金 | 基本給、諸手当、賞与、昇給、支払方法・時期 |
| 退職に関する事項 | 定年、自己都合退職の規定、解雇事由 |
注意点
- 口頭説明だけの場合は、必ず書面での明示を求める
- 面接で聞いた内容と違いがないか確認する
- 不明点は承諾前に質問する
オファー面談を活用する
内定後、オファー面談(条件面談)を実施してくれる企業もあります。
オファー面談で確認すること
- 具体的な仕事内容、配属先
- 評価制度、昇給・昇進の基準
- 残業の実態
- 入社後の研修・フォロー体制
- 社風、チームの雰囲気
オファー面談は、入社後のミスマッチを防ぐための大切な機会です。遠慮せずに質問しましょう。
複数内定時の選び方
複数の企業から内定をもらった場合、どのように選べばいいのでしょうか。
5つの比較ポイント
内定先を比較する5つのポイント
| ポイント | 確認すること |
|---|---|
| ①仕事内容 | 自分のスキル・経験が活かせるか、やりがいを感じられるか |
| ②年収・待遇 | 基本給、賞与、手当、福利厚生を総合的に比較 |
| ③勤務地・働き方 | 通勤時間、転勤の有無、リモートワーク可否 |
| ④成長性 | キャリアパス、昇給率、企業の将来性 |
| ⑤社風・人間関係 | 面接で感じた雰囲気、面接官の印象 |
比較表を作って可視化する
迷ったときは、比較表を作って数値化すると判断しやすくなります。
比較表の例
| 項目 | 重要度 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|
| 仕事内容 | ★★★ | 4点 | 5点 | 3点 |
| 年収 | ★★★ | 5点 | 3点 | 4点 |
| 勤務地 | ★★☆ | 4点 | 4点 | 5点 |
| 成長性 | ★★★ | 3点 | 5点 | 3点 |
| 社風 | ★★☆ | 4点 | 4点 | 3点 |
| 合計 | – | 20点 | 21点 | 18点 |
決められないときは
それでも決められない場合は、以下を試してみてください。
- 一晩〜土日を挟んで考える:冷静に判断できる
- オファー面談・職場見学を依頼する:実際の雰囲気がわかる
- 転職エージェントに相談する:第三者の視点でアドバイスをもらえる
- 自分の「転職の軸」に立ち返る:何を最も重視していたか思い出す
よくある質問(FAQ)
Q1. 内定辞退は電話とメール、どちらがいい?
A. 電話が基本です。電話の方が誠意が伝わり、円満に辞退できます。ただし、担当者が不在の場合や、電話後の確認としてメールを送ることは問題ありません。
Q2. 内定辞退の理由は正直に言うべき?
A. 詳細に説明する義務はありません。「検討の結果」「他社への入社を決めた」程度で十分です。聞かれた場合は、角が立たない形で答えましょう。「御社の年収が低かったので」などは避けてください。
Q3. 承諾後に辞退すると損害賠償を請求される?
A. 法的には辞退可能であり、損害賠償を請求されるケースは極めてまれです。ただし、入社日直前の辞退や、企業が多額の準備費用をかけていた場合は、リスクがゼロではありません。できるだけ早く連絡しましょう。
Q4. 内定承諾の期限は延長できる?
A. 申し出れば延長できることが多いです。2〜3週間、最長でも1ヶ月程度まで延長してもらえるケースがあります。延長を希望する場合は、早めに電話で連絡しましょう。
Q5. 転職エージェント経由の場合、辞退はどうする?
A. 転職エージェントに連絡すればOKです。エージェントが企業との連絡を代行してくれます。ただし、できるだけ早く連絡すること、理由を明確に伝えることは同じです。
Q6. 内定辞退した企業に、将来また応募できる?
A. 応募自体は可能ですが、企業によっては過去の辞退歴を参考にする場合があります。円満に辞退していれば、再応募で不利になることは少ないでしょう。
Q7. 内定承諾前に確認すべきことは?
A. 労働条件通知書で、労働時間、賃金、休日、業務内容、勤務地などを確認しましょう。口頭説明だけの場合は、書面での明示を求めてください。これは労働者の権利であり、失礼にはあたりません。
まとめ
内定辞退の伝え方のポイントをおさらいします。
内定辞退の基本マナー
- 連絡方法は電話が基本
- できるだけ早く連絡する
- 理由は詳細に説明する義務はない
- 誠意を持ってお詫びを伝える
内定辞退の伝え方
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 内定承諾前の辞退 | 電話で連絡、メールで確認 |
| 内定承諾後の辞退 | 電話で連絡、可能なら直接お詫び |
| エージェント経由 | エージェントに連絡 |
承諾後の辞退について
- 法的には辞退可能(民法627条、憲法22条)
- 損害賠償を請求されるケースは極めてまれ
- ただし、入社日直前の辞退は避ける
- できるだけ早く、誠意を持って連絡する
内定承諾前に確認すべきこと
- 労働条件通知書で条件を確認
- 不明点は承諾前に質問
- オファー面談があれば活用
内定辞退は、気が重い連絡です。しかし、早めに、誠意を持って連絡すれば、円満に辞退できます。
後悔のない選択をするために、しっかり検討して決断してください。
あなたの転職活動が成功することを願っています。
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