失業保険をもらうと扶養に入れない?日額3,612円の基準を解説
「退職したら夫(妻)の扶養に入れる?」 「失業保険をもらいながら扶養に入るのは無理?」 「130万円の壁って、年収のこと?」
退職後の保険や年金の手続きは複雑で、何をどうすればいいか迷いますよね。
この記事では、失業保険(基本手当)をもらいながら扶養に入れるかどうかを、健康保険・年金・税の3つに分けて整理します。よくある勘違いや手続きの順番も解説するので、退職後の不安を解消できます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的助言ではありません。扶養認定の基準は加入先の健康保険組合によって異なる場合があります。最終判断は窓口でご確認ください。
失業保険の「いつ・いくら・何日」の全体像を先に確認したい人は、こちらの記事をご覧ください↓

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結論:扶養に入れるかは「基本手当日額」でほぼ決まる
先に結論をお伝えします。
基本手当日額が3,611円以下 → 扶養に入れる可能性が高い 基本手当日額が3,612円以上 → 受給開始後は扶養から外れる可能性が高い
これが健康保険の扶養と年金(第3号被保険者)の目安です。
ただし「年収130万円未満なら扶養に入れる」という説明だけでは不十分。失業保険をもらう場合は「日額換算」で判断されるため、総支給額が130万円に届かなくても扶養に入れないケースがあります。
以下で詳しく解説します。
【最重要】健康保険の扶養は”年収”だけじゃない(日額換算の考え方)
よく使われる目安
健康保険の扶養に入るための収入要件は、一般的に以下のとおりです。
| 対象者 | 年収の目安 | 日額換算 |
|---|---|---|
| 60歳未満 | 130万円未満 | 3,611円以下 |
| 60歳以上または障害者 | 180万円未満 | 5,000円未満 |
雇用保険(基本手当)を受給する人は、基本手当日額が3,611円以下なら扶養認定される可能性があります。一方で、3,612円以上の支給が始まった場合は扶養から外す手続きが必要になります(運用は加入先健保でも確認)。
※この日額基準は「年収130万円未満」を日額換算(130万÷360日)した目安です。
つまり、基本手当日額が3,612円以上であれば、たとえ総支給額が130万円に届かなくても、扶養の収入要件(日額3,611円以下)を超えるため、受給中は扶養から外れる扱いになる可能性が高いです。
例:基本手当日額4,000円、所定給付日数90日の場合
- 総支給額:4,000円 × 90日 = 36万円(130万円未満)
- 日額換算:4,000円 × 360日 = 144万円(130万円以上)
- 結果:受給中は扶養に入れない
参考:日本年金機構「被扶養者に異動があったときの手続き」|参照日:2025/12/17
加入している健保(協会けんぽ/組合健保)で違う点
扶養認定の基準は、加入している健康保険によって細かい運用が異なります。
| 項目 | 協会けんぽ | 組合健保 |
|---|---|---|
| 基本的な基準 | 日額3,611円以下(=3,612円以上で扶養から外れる可能性) | 同様(ただし独自ルールあり) |
| 運用の細部 | 加入先により異なる(追加書類・判断基準など) | 加入先により異なる |
| 問い合わせ先 | 協会けんぽ各支部 | 各健康保険組合 |
ポイント:組合健保は独自の基準を設けている場合があります。「うちは日額3,500円以上で扶養から外れる」など、協会けんぽより厳しいケースも。必ず配偶者の勤務先の健保組合に確認してください。
失業保険をもらっても扶養に入れるケース/入れないケース
入れる可能性が高いパターン
- 基本手当日額が3,611円以下(60歳未満の場合)
- 失業保険の受給開始前(待期期間・給付制限期間中)
- 失業保険の受給終了後
特に「給付制限期間中」は、まだ失業保険が支給されていないため、その期間は扶養に入れる可能性があります。ただし、受給開始後は扶養から外れる手続きが必要になることが多いです。
外れる可能性が高いパターン
- 基本手当日額が3,612円以上
- 失業保険の受給期間中(基本手当が実際に支給される期間)
注意:待期・給付制限中は扶養認定されることがありますが、受給が始まり日額3,612円以上なら扶養から外れる扱いになりやすいです(加入先で確認)。
扶養に入れない場合の選択肢2つ(国保/任意継続)
失業保険の受給中に扶養に入れない場合、健康保険の選択肢は主に**2つ(国保/任意継続)**です。
ざっくり比較表
| 項目 | 国民健康保険(国保) | 任意継続 |
|---|---|---|
| 保険料の決まり方 | 前年の所得・世帯人数で計算 | 退職時の標準報酬月額で計算 |
| 加入期間 | 制限なし | 最長2年 |
| 手続き期限 | 退職後14日以内(目安) | 退職後20日以内(厳守) |
| 手続き先 | 市区町村役場 | 退職前の健康保険組合 |
なお、退職後の健康保険を「扶養・国保・任意継続」の3択で最短判断したい方は、こちらの記事で手順をまとめています。
その他:国保の軽減(自治体の減免・軽減)
退職後は、国民健康保険料が軽減・減免される制度が用意されている自治体があります(条件・申請方法は自治体ごとに異なります)。
特に「非自発的失業者(会社都合退職・雇い止めなど)」の場合は、前年所得を30/100とみなして保険料を計算する軽減制度が適用されることがあります。
※対象は「65歳未満」や「離職理由コード」など条件があります(自治体で判定)。
国保を選ぶ場合は、役所で「退職(離職)に伴う軽減・減免の対象になるか」も一緒に確認すると安心です。
判断のコツ(どっちが得かの考え方)
- 前年の年収が高い → 国保が高くなりやすい → 任意継続が有利かも
- 前年の年収が低い → 国保が安くなりやすい → 国保が有利かも
- 扶養する家族がいる → 任意継続なら追加保険料なし → 任意継続が有利かも
具体的な保険料は試算が必要です。市区町村の窓口で国保の概算を聞き、任意継続の保険料(退職前の健保に確認)と比較してから決めましょう。
手続きと並行して転職活動も進めるなら、書類を先に整えると楽です →
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年金の切り替えでやること(第3号になれる?ならない?)
年金の扶養(国民年金第3号被保険者)も、健康保険の扶養とほぼ同じ基準です。
基本手当日額3,612円以上 → 第3号になれない → 第1号への切り替えが必要
| 状況 | 年金の種別 | 保険料負担 |
|---|---|---|
| 配偶者の扶養に入れる | 第3号被保険者 | なし(配偶者の年金制度が負担) |
| 扶養に入れない | 第1号被保険者 | 月額17,510円(令和7年度)※年度で改定 |
手続き
- 第3号になる場合:配偶者の勤務先で手続き(自分で役所に届出は不要)
- 第1号になる場合:市区町村役場で国民年金の資格取得届を提出(退職後14日以内が目安)
注意:失業保険の受給終了後に第3号に戻る場合は、再度、配偶者の勤務先で届出が必要です。届出漏れは「未納期間」となり、将来の年金額に影響します。
認定日の手続きについては、こちらの記事で解説しています。

参考:日本年金機構「国民年金の第3号被保険者制度のご説明」|参照日:2025/12/17
税の扶養は別(失業保険は非課税)
ここまで「健康保険の扶養」と「年金(第3号)」について説明しましたが、税法上の扶養(配偶者控除など)は別の話です。
| 扶養の種類 | 失業保険の扱い |
|---|---|
| 健康保険の扶養 | 収入に含む(日額3,611円以下が基準) |
| 年金(第3号) | 収入に含む(健康保険と同じ基準) |
| 税の扶養(配偶者控除) | 収入に含まない(非課税所得) |
失業保険(基本手当)は税法上は非課税なので、失業保険をいくらもらっても、税の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)の判定には影響しません。
つまり、「健康保険の扶養は外れるけど、税の扶養には入れる」というケースもあります。
よくある勘違い5つ
①「130万円は1年間の総額でしょ?」
→ 違います。 失業保険をもらう場合は「日額換算」で判断されます。日額3,612円以上なら、総額が130万円に届かなくても扶養に入れません。
②「今年すでに130万円超えてるから扶養は無理」
→ 過去の収入は関係ありません。 扶養の判断は「これからの見込み収入」で行われます。退職して収入がなくなれば、過去に130万円以上稼いでいても扶養に入れる可能性があります。
③「失業保険は非課税だから収入に入らない」
→ 税金と健康保険は別です。 税法上は失業保険は非課税ですが、健康保険の扶養判定では収入に含まれます。
④「協会けんぽも組合健保も基準は同じ」
→ 組合健保は独自ルールがある場合があります。 必ず配偶者の加入先に確認してください。
⑤「待期期間7日間も扶養に入れない」
→ 多くの場合は入れます。 ただし健保によって判断が異なるため、確認が必要です。待期期間中や給付制限期間中は扶養に入り、受給開始後に外れるパターンが一般的です。
退職後の手続きチェックリスト(迷わない順)
退職後にやることを、優先度順に並べました。
- [ ] ①離職票を受け取る(退職後〜2週間程度で届く)
- [ ] ②ハローワークで求職申込み・受給資格決定(離職票が届いたらすぐ)
- [ ] ③健康保険を決める(扶養 or 国保 or 任意継続)
- [ ] ④年金の届出(第3号 or 第1号)
- [ ] ⑤住民税の確認(退職時期によって納付方法が変わる)
- [ ] ⑥失業認定日にハローワークへ(4週間に1回)
ポイント:任意継続を選ぶ場合は「退職後20日以内」の手続きが必須。迷っているうちに期限を過ぎると選べなくなるので注意。
FAQ
Q1. 失業保険をもらいながら扶養に入れますか?
基本手当日額が3,611円以下(60歳未満の場合)であれば、扶養に入れる可能性があります。3,612円以上の場合は、受給中は扶養から外れるのが一般的です。
Q2. 扶養に入るのと失業保険をもらうの、どっちが得ですか?
一概には言えませんが、多くの場合は失業保険をもらった方が手取り総額は増えます。ただし、扶養に入れば保険料負担がゼロになるメリットもあるため、自分の日額と受給日数で試算してみてください。
Q3. 給付制限期間中は扶養に入れますか?
給付制限期間中は、まだ基本手当が支給されていないため扶養に入れる可能性があります。給付制限の長さは離職時期や離職理由、自己都合の回数などで変わるため、自分のケースの期間はハローワークと加入先健保で確認してください。
Q4. 扶養に入った後、失業保険の受給が始まったらどうすればいいですか?
受給開始日から扶養を外す手続きが必要です。配偶者の勤務先に「被扶養者異動届」を提出し、その後、国保に加入します。
Q5. 失業保険の受給が終わったら、また扶養に入れますか?
入れます。受給終了後に収入がなくなれば、再度扶養に入る手続きができます。配偶者の勤務先で手続きしてください。
Q6. 税金の扶養と健康保険の扶養は同じですか?
違います。税法上の扶養(配偶者控除など)と、健康保険の扶養は別の制度です。失業保険は税法上は非課税ですが、健康保険の扶養では収入に含まれます。
まとめ
失業保険をもらいながら扶養に入れるかは、「基本手当日額3,611円以下」が目安です。
- 3,611円以下 → 扶養に入れる可能性が高い
- 3,612円以上 → 受給中は扶養から外れる可能性が高い
ただし、扶養認定の基準は加入先の健康保険組合によって異なります。必ず配偶者の勤務先の健保に確認してから手続きを進めてください。
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参考・出典(参照日:2025/12/17)
・日本年金機構「被扶養者に異動があったときの手続き」
・日本年金機構「国民年金保険料」
・協会けんぽ「任意継続被保険者制度について」
・厚生労働省「非自発的失業者に係る国民健康保険料(税)の軽減措置」
・ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的助言ではありません。扶養認定の基準は加入先の健康保険組合や状況によって異なる場合があります。最終的な判断や手続きについては、配偶者の勤務先の健康保険組合、年金事務所、市区町村窓口など、各機関にご確認ください。


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