「退職したら健康保険どうすればいいの…?」
「扶養に入れるの?国保と任意継続、どっちが得?」
退職後の健康保険は「扶養」「国民健康保険(国保)」「任意継続」の3択です。どれを選ぶかで、毎月の保険料が数千円〜数万円変わることもあります。
しかも、手続きには期限があります。任意継続は退職後20日以内、国保は14日以内。迷っているうちに期限を過ぎると、選択肢が狭まってしまいます。
この記事では、退職後の健康保険をどう選べばいいか、判断フローと手続きの流れをわかりやすく解説します。
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免責事項:本記事は2025年12月時点の情報をもとに作成しています。加入先の健康保険組合や自治体によって運用が異なる場合があります。最終的な判断は、各窓口でご確認ください。
結論:迷ったら「扶養→任意継続→国保」の順で確認すれば決まる
退職後の健康保険は、次の順番でチェックすれば最適解にたどり着けます。
- まず扶養を確認:配偶者や親の健康保険に入れるなら、保険料0円で最強
- 扶養NGなら任意継続を確認:退職後20日以内の期限が短いので先に確認
- 最後に国保と比較:前年所得で保険料が決まる+軽減制度の対象か確認
ポイント:任意継続は期限が20日と短いので、「とりあえず国保でいいや」と後回しにすると選択肢がなくなります。扶養と任意継続を先に確認して、それでも迷ったら国保、という順番で考えましょう。
まずは3択の違いを1分で把握(比較表)
退職後の健康保険は、次の3つから選びます。
| 項目 | 扶養(家族の健保) | 任意継続 | 国民健康保険(国保) |
|---|---|---|---|
| 保険料 | 0円 | 退職時の標準報酬月額ベース(全額自己負担) | 前年所得・世帯構成で決まる |
| 手続き期限 | 配偶者等の勤務先による | 退職後20日以内(厳守) | 退職後14日以内(運用は自治体で確認) |
| 手続き先 | 配偶者等の勤務先 | 加入していた健保組合/協会けんぽ | 住所地の市区町村役所 |
| 加入期間 | 条件を満たす限り | 最長2年 | 制限なし |
| メリット | 保険料がかからない | 家族がいても追加保険料なし | 軽減制度あり |
| デメリット | 収入要件あり | 期限が短い/途中でやめにくい | 前年所得が高いと高額に |
| 向いてる人 | 収入が基準以下の人 | 扶養に入れない&家族がいる人 | 非自発的失業で軽減対象の人 |
結論:扶養に入れるなら扶養一択。入れないなら「任意継続」と「国保」の保険料を比較して安い方を選ぶのが基本です。
① 扶養(家族の健康保険)に入れる条件
「年収130万円未満」だけでは判断できない
扶養に入れるかどうかは「年収130万円未満」が有名ですが、失業保険(基本手当)を受給する場合は日額基準が絡みます。
| 区分 | 年収基準 | 日額基準 |
|---|---|---|
| 60歳未満 | 130万円未満 | 3,611円以下 |
| 60歳以上または障害者 | 180万円未満 | 5,000円未満 |
失業保険の基本手当日額が3,612円以上の場合、たとえ総支給額が130万円に届かなくても、扶養の収入要件を超える扱いになる可能性が高いです。
扶養に入れる典型的なケース
- 退職後、失業保険を受給しない(すぐに扶養認定可)
- 失業保険の待期期間中・給付制限中(収入がない期間は扶養に入れる場合あり)
- 基本手当日額が3,611円以下
扶養から外れる典型的なケース
- 基本手当日額が3,612円以上で、受給が始まった
- パート・アルバイト収入が月額約10.8万円を超える見込み
注意:待期・給付制限中は扶養認定されることがありますが、受給が始まり日額3,612円以上なら扶養から外れる扱いになりやすいです(加入先で確認)。
失業保険と扶養の関係について詳しくは、こちらの記事で解説しています↓
② 任意継続(退職前の健保を続ける)—「20日以内」が最重要
任意継続とは?
任意継続は、退職前に加入していた健康保険を、退職後も最長2年間続けられる制度です。
加入条件
- 退職日までに継続して2ヶ月以上被保険者だったこと
- 退職日の翌日(資格喪失日)から20日以内に手続きすること
重要:20日を1日でも過ぎると、任意継続には入れません。20日目が土日祝にあたる場合は、翌営業日までが期限です。この期限は「厳守」です。
※郵送で手続きする場合は「20日以内に必着」が原則なので、余裕をもって出してください。
保険料の決まり方
任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額をベースに計算されます。
在職中は会社と折半だった保険料が、退職後は全額自己負担になります。そのため、単純計算で在職中の約2倍になることが多いです。
ただし、保険料には上限があります。
| 加入先 | 標準報酬月額の上限(令和7年度) |
|---|---|
| 協会けんぽ | 32万円 |
| 健康保険組合 | 組合ごとに異なる |
※協会けんぽの任意継続は、退職時の標準報酬月額が32万円を超える場合、32万円で保険料を算出します(令和7年3月分までは30万円)。
参考:全国健康保険協会「令和7年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r6-12/61210_01/
つまり、退職時の月収が40万円でも50万円でも、協会けんぽなら32万円をベースに保険料が計算されます。高収入だった人にはメリットになる場合があります。
家族がいると有利になりやすい
任意継続のメリットは、被扶養者(配偶者や子ども)がいても追加の保険料がかからないこと。
国保は世帯人数で保険料が上がることがあるため、扶養家族が多い場合は任意継続の方が安くなるケースがあります。
手続き先・必要書類
- 手続き先:退職前に加入していた健康保険組合または協会けんぽ支部
- 必要書類:任意継続被保険者資格取得申出書、退職日がわかる書類(離職票など)
参考:協会けんぽ「任意継続の加入手続きについて」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650/r316/
③ 国民健康保険(国保)—「前年所得」と「軽減」がポイント
国保とは?
国民健康保険は、市区町村が運営する健康保険です。会社員でなくなった人、自営業者、フリーランスなどが加入します。
手続き期限と手続き先
- 手続き期限:退職日の翌日から14日以内(運用は自治体で確認)
- 手続き先:住所地の市区町村役所(国民健康保険課など)
注意:14日を過ぎても手続きはできますが、加入すべき日までさかのぼって保険料が発生することがあります(最長2年分)。また、遅れると受診時にいったん全額自己負担になる場合があるため、早めに手続きしましょう。
保険料の決まり方
国保の保険料は、前年の所得と世帯構成で決まります。
- 前年の所得が高い → 保険料が高くなる
- 世帯の加入者が多い → 保険料が高くなる(均等割)
そのため、退職した年は「前年まで会社員として高い給与をもらっていた」状態なので、国保の保険料が高額になりがちです。
非自発的失業者の軽減制度
倒産・解雇・雇止めなどで失業した人(非自発的失業者)は、国保の保険料が大幅に軽減される制度があります。
軽減の内容:前年の給与所得を30/100(3割)として計算
対象条件(主なもの):
- 離職日時点で65歳未満
- 雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者
- 離職票の離職理由コードが対象コード(11、12、21、22、23、31、32、33、34など)
この軽減を受けられる場合、任意継続よりも国保の方が安くなることがあります。必ず役所で対象かどうか確認しましょう。
参考:厚生労働省「非自発的失業者に係る国民健康保険料(税)の軽減措置」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004o7v.html
手続きに必要なもの
- 健康保険資格喪失証明書(または離職票)
- マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
- 印鑑(自治体による)
どれが得?最短で決める判断フロー(ここが記事の核)
「結局、自分はどれを選べばいいの?」という疑問を、次のフローで解決しましょう。
【判断フロー】
STEP 1:扶養に入れる?
├─ YES → 扶養に入る(保険料0円で最強)
│
└─ NO → STEP 2へ
STEP 2:任意継続の保険料を確認
└─ 健保組合または協会けんぽに問い合わせ
STEP 3:国保の保険料を確認
└─ 市区町村役所で概算を聞く
└─ 軽減対象か確認(非自発的失業者)
STEP 4:比較して安い方を選ぶ
└─ ただし、任意継続は20日以内に申請!
問い合わせテンプレート
【健保組合/協会けんぽへ】
「退職後の任意継続を検討しています。以下を教えてください。」
- 任意継続の月額保険料はいくらになりますか?
- 申請の手続き方法と必要書類は何ですか?
- 扶養家族がいる場合、追加の保険料はかかりますか?
【市区町村役所へ】
「退職後の国民健康保険について教えてください。」
- 私の場合、国保の月額保険料の概算はいくらですか?
- 非自発的失業者の軽減制度の対象になりますか?
- 加入手続きに必要な書類は何ですか?
ポイント:任意継続と国保、両方の保険料を確認してから決めるのがベスト。ただし、任意継続の20日期限だけは絶対に意識しておきましょう。
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手続きチェックリスト(期限で並べる)
退職後の健康保険手続きを、期限の短い順にまとめました。
□ 退職日・資格喪失日を確認する
健康保険の資格喪失日は「退職日の翌日」です。すべての期限はここから計算します。
□ 任意継続を検討するなら20日以内に申請
任意継続は退職日の翌日から20日以内(20日目が土日祝なら翌営業日)に申請が必要です。この期限を1日でも過ぎると、任意継続には入れません。
□ 国保なら14日以内に加入手続き
国民健康保険の届出は、退職日の翌日から14日以内です(運用は自治体で確認)。届出が遅れると、届出日からしか保険証が使えない場合があります(保険料は資格取得日に遡って請求されます)。
□ 扶養なら配偶者等の勤務先に届出
扶養に入る場合は、配偶者等の勤務先で「被扶養者(異動)届」を提出してもらいます。必要書類は勤務先に確認しましょう。
□ 失業保険を申請する人は扶養の扱いが変わる可能性
失業保険(基本手当)を受給する場合、日額3,612円以上なら扶養から外れる扱いになりやすいです。待期・給付制限中は扶養に入れていても、受給開始後は扶養削除の届出が必要になることがあります。
失業保険の手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しています。↓
FAQ(よくある質問)
Q1. 退職した翌日から無保険になる?
A. 退職日の翌日から「扶養・任意継続・国保」のいずれかへ切り替えが必要です(自動で完了はしません)。
手続きをしないと保険の資格確認ができず、受診時にいったん全額自己負担になることがあります。また、国保は加入すべき日までさかのぼって保険料が発生し、届出が遅れると給付が届出日からになる場合もあるため、早めに手続きしましょう。
Q2. 扶養に入れた後、失業保険が始まったらどうなる?
A. 日額3,612円以上なら、扶養から外れる手続きが必要です。
待期・給付制限中は扶養に入れていても、基本手当の受給が始まって日額3,612円以上になると、扶養から外れる扱いになりやすいです。受給開始日を確認して、扶養削除の届出を忘れずに行いましょう。
詳しくはこちら↓
Q3. 任意継続と国保、どっちが安い?
A. ケースバイケースなので、両方の見積もりを取るのが確実です。
一般的に、以下のような傾向があります。
- 任意継続が有利:扶養家族が多い人、前年所得が高い人
- 国保が有利:非自発的失業者で軽減対象の人、単身者
どちらが安いかは、加入先の健保組合と市区町村役所に問い合わせて比較しましょう。
Q4. 家族がいる場合はどれが有利?
A. 任意継続が有利になりやすいです。
任意継続は、被扶養者(配偶者や子ども)がいても追加の保険料がかかりません。一方、国保は世帯人数で保険料が上がることがあります。
ただし、国保の軽減制度が使える場合はその限りではないので、両方比較することをおすすめします。
Q5. 国保の軽減は誰でも受けられる?
A. いいえ、条件があります。
非自発的失業者(倒産・解雇・雇止めなど)で、離職票の離職理由コードが対象コードに該当する場合に限られます。自己都合退職の場合は対象外です。詳しくは市区町村役所で確認してください。
Q6. 手続きが遅れたらどうなる?
A. 早めに窓口へ相談しましょう。
- 任意継続:20日を過ぎると加入できません
- 国保:14日を過ぎても届出はできますが、届出日前に医療機関を受診した場合は全額自己負担になることがあります(後から還付申請は可能な場合あり)
会社から離職票が届かないなどの理由で手続きが遅れそうな場合は、期限前に窓口に相談しましょう。
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まとめ
退職後の健康保険は「扶養」「任意継続」「国保」の3択です。次の順番で確認すれば、最適解が見つかります。
- 扶養OKなら扶養(保険料0円で最強)
- 扶養NGなら任意継続と国保を同時に試算
- 迷ったら任意継続の20日期限だけは先に潰す
特に任意継続は期限が短い(20日以内)ので、「とりあえず国保で」と後回しにせず、先に確認しておきましょう。
手続きの期限をまとめると:
| 選択肢 | 期限 | 手続き先 |
|---|---|---|
| 扶養 | 配偶者等の勤務先による | 配偶者等の勤務先 |
| 任意継続 | 退職後20日以内(厳守) | 加入していた健保組合/協会けんぽ |
| 国保 | 退職後14日以内(運用は自治体で確認) | 住所地の市区町村役所 |
退職後は何かとバタバタしますが、健康保険の手続きは早めに済ませておくと安心です。
この記事が、あなたの退職後の手続きの参考になれば幸いです。スムーズな転職活動と新しいスタートを願っています。
参考・出典(参照日:2025/12/18)
・全国健康保険協会「任意継続の加入条件について」
・全国健康保険協会「任意継続の加入手続きについて」
・全国健康保険協会「令和7年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
・厚生労働省「非自発的失業者に係る国民健康保険料(税)の軽減措置」
・日本年金機構「被扶養者に異動があったときの手続き」
免責事項:本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の状況に応じた判断は加入先の健康保険組合や市区町村窓口にてご確認ください。



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