退職後の健康保険は何を選ぶべき?会社員・自営業・無職別の戦略と注意点

退職・手続き

「退職したら、健康保険どうなるの…」

「任意継続と国保、どっちが得なの…」

「手続きの期限に間に合わなかったらどうなる…」


【結論】退職後の健康保険の選び方

結論から言うと、退職後の健康保険は以下の3択から選びます。

・家族の扶養に入れる → 扶養(保険料0円)

・高収入だった or 扶養家族が多い → 任意継続が有利

・退職翌年に収入が下がる or 単身 → 国保が有利

・任意継続の期限は退職日翌日から20日以内

・国保の期限は退職日翌日から14日以内

退職後の健康保険選びは、人生のコストに直結します。選び方を間違えると、年間で数十万円の差が出ることも。

でも、制度が複雑で分かりにくい。どれを選べばいいか、迷う人が多いです。

この記事では、退職後の健康保険の選択肢と、あなたに合った選び方を具体的に解説します。

失業保険の完全ガイド|受給条件・金額・手続きの流れ


退職後の健康保険の全体像

まず、制度の基本を押さえましょう。

社会保険と国民健康保険の違い

日本の健康保険は、大きく2種類に分かれます。

社会保険(健康保険)

・会社員・公務員が加入

・保険料は会社と折半

・扶養家族も保険料無料で加入可能

国民健康保険(国保)

・自営業・フリーランス・無職の人が加入

・保険料は全額自己負担

・扶養の概念がない(家族も個別に保険料が発生)

会社を辞めると、社会保険の資格を失います。その後、どの保険に入るかを選ぶ必要があります。

退職後の選択肢は3つ

退職後に選べる健康保険は、基本的に3つ。

① 任意継続(最長2年)

退職前の健康保険を、最長2年間継続できる制度。保険料は全額自己負担(会社負担分もなくなる)。

② 国民健康保険(国保)

市区町村が運営する健康保険。前年の所得に応じて保険料が決まる。

③ 家族の扶養に入る

配偶者や親が社会保険に加入していれば、その扶養に入れる可能性あり。保険料は無料。

保険料の負担イメージ

選択肢保険料の目安備考
任意継続月2〜5万円程度退職前の保険料×2倍が上限
国民健康保険月1〜6万円程度前年所得・自治体で大きく変動
家族の扶養0円収入制限あり

どれが得かは、前年の所得・家族構成・住んでいる自治体によって変わります。


会社員の健康保険選択肢

会社を退職した場合の選択肢を詳しく解説します。

選択肢①:任意継続

退職前の健康保険を、そのまま継続する制度です。

任意継続の条件

・退職前に2ヶ月以上、その健康保険に加入していた

・退職日の翌日から20日以内に手続きする

任意継続のメリット

・保険料に上限がある(標準報酬月額の上限)

・扶養家族も引き続きカバーされる

・健康診断など福利厚生を使えることも

任意継続のデメリット

・保険料は全額自己負担(会社負担分がなくなる)

・最長2年間の期限がある

・途中で国保に切り替えられない(2022年法改正で可能に)

保険料の計算

退職時の標準報酬月額 × 保険料率 = 月額保険料

ただし、標準報酬月額には上限があります。(2024年度:30万円が上限の健保組合が多い)

高収入だった人は、任意継続の方が得になることが多いです。

選択肢②:国民健康保険

市区町村が運営する健康保険です。

国保の特徴

・前年の所得に応じて保険料が決まる

・自治体によって保険料が異なる

・扶養の概念がない

国保のメリット

・退職翌年に所得が下がると保険料も下がる

・軽減制度・減免制度がある

・手続きが比較的簡単

国保のデメリット

・前年所得が高いと保険料も高い

・扶養家族も個別に保険料がかかる

・自治体によって保険料に差がある

保険料の計算

国保の保険料は、以下の3つの合計。

・所得割:前年所得 × 料率

・均等割:加入者1人あたりの定額

・平等割:1世帯あたりの定額(ない自治体も)

自治体によって計算方法が異なるので、市区町村の窓口で試算してもらうのがおすすめ。

選択肢③:家族の扶養に入る

配偶者や親が社会保険に加入していれば、その扶養に入れる可能性があります。

扶養に入れる条件

・年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)

・被保険者(扶養する人)の年収の半分未満

・同居、または仕送りを受けている

扶養のメリット

・保険料が無料

・手続きが比較的簡単

扶養のデメリット

・収入制限がある

・失業給付を受けると扶養に入れないことも

・扶養から外れた時の手続きが必要

失業給付との関係

失業給付(基本手当)の日額が3,612円以上だと、扶養に入れないことが多いです。

失業給付を受けている間は国保に加入し、給付終了後に扶養に入る、という流れが一般的です。


自営業・フリーランスの場合

退職後に独立する場合は、基本的に国保一択です。

国民健康保険の加入手続き

手続きの流れ

1. 退職後14日以内に市区町村の窓口へ

2. 「健康保険資格喪失証明書」を提出

3. 国保の加入手続き

4. 保険証を受け取る

必要書類

・健康保険資格喪失証明書(会社から発行)

・本人確認書類

・マイナンバーカード or 通知カード

保険料の軽減制度

自営業・フリーランスでも、保険料を軽減できる制度があります。

① 所得に応じた軽減

前年所得が一定以下の場合、均等割・平等割が7割・5割・2割軽減されます。

② 非自発的失業者の軽減

会社都合で退職した場合、前年所得を30/100とみなして保険料を計算。

大幅に保険料が下がることがあります。

③ 減免制度

災害・失業・所得の急激な減少などで、保険料の減免を申請できる場合があります。

市区町村の窓口で相談しましょう。


配偶者の扶養に入る場合

扶養に入れると、保険料が無料になります。条件を詳しく解説します。

扶養の要件と収入制限

基本要件

・被保険者(配偶者など)の3親等内の親族

・主として被保険者の収入で生計を維持している

収入の条件

・年収130万円未満

・かつ、被保険者の年収の半分未満

収入に含まれるもの

・給与収入

・事業収入

・失業給付

・年金

・不動産収入など

失業給付も「収入」に含まれます。日額3,612円以上(年収換算130万円)だと扶養に入れません。

扶養に入るメリット

① 保険料が無料

扶養に入っている間、健康保険料は発生しません。これが最大のメリット。

② 年金も優遇される可能性

配偶者が厚生年金に加入している場合、扶養に入ると「第3号被保険者」になれます。

国民年金の保険料(月約17,000円)が免除に。健康保険と年金、両方でメリットがあります。

手続きの流れ

手続きの流れ

1. 被保険者(配偶者)の会社に申請

2. 必要書類を提出

3. 健保組合の審査

4. 承認されれば扶養認定

必要書類

・被扶養者届

・退職証明書 or 資格喪失証明書

・所得を証明する書類

・住民票など

会社の人事・総務に確認しましょう。

注意点

① 収入が増えたら扶養から外れる

パート収入などで年収130万円を超えると、扶養から外れる必要があります。

② 失業給付を受ける場合

失業給付の日額が3,612円以上だと、受給期間中は扶養に入れません。

給付終了後に扶養の手続きをしましょう。

③ 扶養の判定は健保組合によって異なる

細かい基準は、健保組合によって違います。事前に確認することをおすすめします。


失業保険と扶養の関係はこちら。


保険料の比較と節約ポイント

どの選択肢が得かは、状況によって変わります。

任意継続 vs 国民健康保険

任意継続が得なケース

・退職時の年収が高かった

・扶養家族が多い

・退職翌年も収入がある見込み

国保が得なケース

・退職時の年収が低かった

・単身世帯

・退職翌年は無収入 or 低収入

具体的な比較例

ケース:年収500万円で退職、扶養家族なし、東京都在住

任意継続の場合 → 月額約3万円(年間約36万円)

国保の場合(1年目) → 月額約4〜5万円(年間約50〜60万円)

国保の場合(2年目以降・無収入) → 月額約1〜2万円(年間約15〜20万円)

この場合、1年目は任意継続が得。でも、2年目に収入が下がるなら国保の方が得になることも。

世帯全体での最適化

家族がいる場合は、世帯全体で考えましょう。

考慮すべきポイント

・配偶者の扶養に入れるか

・子どもの保険料はどうなるか

・世帯合計でいくらかかるか

任意継続なら、扶養家族の保険料は無料。国保だと、家族も個別に保険料がかかります。

扶養家族が多い場合は、任意継続が得になることが多いです。


退職直後の手続きチェックリスト

手続きには期限があります。忘れないようにチェックリストで確認しましょう。

手続きの期限

手続き期限
任意継続の申請退職日の翌日から20日以内
国保の加入退職日の翌日から14日以内
扶養の申請できるだけ早く(空白期間を作らない)

期限を過ぎると、任意継続は利用できなくなります。国保は遡って加入になりますが、保険料も遡って請求されます。

必要書類チェックリスト

任意継続の場合

・[ ] 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書

・[ ] 退職日が確認できる書類

・[ ] 保険証(返却用)

国保の場合

・[ ] 健康保険資格喪失証明書

・[ ] 本人確認書類

・[ ] マイナンバーカード or 通知カード

・[ ] 印鑑

扶養の場合

・[ ] 被扶養者届(会社の書式)

・[ ] 退職証明書 or 資格喪失証明書

・[ ] 所得証明書類

・[ ] 住民票

窓口・問い合わせ先

任意継続 → 退職前に加入していた健康保険組合 → 協会けんぽの場合は最寄りの支部

国民健康保険 → 住んでいる市区町村の役所(国保担当窓口)

扶養 → 配偶者・親の勤務先の人事・総務部門


早めに転職先を決めたい人はこちら。

次の転職に向けて市場価値を診断してみる。

MIIDAS

よくある誤解とFAQ

Q1:任意継続は2年間必ず続けないといけない?

A. いいえ、2022年の法改正で途中解約が可能になりました。

以前は「2年間の縛り」がありましたが、今は申し出れば翌月から脱退できます。

「1年目は任意継続、2年目は国保」という選択も可能です。

Q2:国保の保険料が高すぎる場合、どうすればいい?

A. 軽減・減免制度を活用しましょう。

確認すべき制度

・非自発的失業者の軽減(会社都合退職の場合)

・所得に応じた軽減(7割・5割・2割)

・減免申請(災害・失業・所得激減の場合)

市区町村の窓口で相談すれば、使える制度を教えてもらえます。

Q3:失業給付を受けながら扶養に入れる?

A. 失業給付の日額によります。

日額3,612円未満 → 扶養に入れる可能性あり

日額3,612円以上 → 扶養に入れない

多くの人は日額3,612円を超えるので、失業給付を受けている間は扶養に入れません。

給付終了後に、改めて扶養の手続きをしましょう。

Q4:手続きが遅れたらどうなる?

任意継続の場合

20日以内に手続きしないと、加入できません。強制的に国保に加入することになります。

国保の場合

14日を過ぎても手続きはできますが、退職日の翌日に遡って加入となります。保険料も遡って請求されます。

また、手続き完了まで保険証がないので、医療費は一旦全額自己負担になります(後で還付申請)。

Q5:どの選択肢が一番お得?

A. 状況によって異なります。

判断のフローチャート

① 扶養に入れる? → Yes:扶養に入る(保険料0円) → No:②へ

② 退職時の年収は高い?扶養家族がいる? → Yes:任意継続が有利な可能性 → No:国保が有利な可能性

③ 退職翌年の収入は下がる? → Yes:国保(2年目以降保険料が下がる) → No:任意継続で2年間固定

具体的な金額は、窓口で試算してもらうのが確実です。

Q6:退職後すぐに転職する場合は?

A. 次の会社の社会保険に加入するまで、短期間の空白ができます。

空白期間が1日〜数日の場合

厳密には国保に加入する必要がありますが、実際は手続きしない人も多いです。

ただし、その期間に病院にかかると、保険適用されないので注意。

空白期間が1ヶ月以上の場合

任意継続か国保に加入しましょう。病気・ケガのリスクに備えるためです。


転職活動の全体像を把握したい人はこちら。

転職のタイミングを見極めたい人はこちら。

まとめ

退職後の健康保険は、選び方で年間数十万円の差が出ます。しっかり比較して、最適な選択をしましょう。

3つの選択肢

選択肢向いている人
任意継続高収入だった人、扶養家族が多い人
国民健康保険退職翌年に収入が下がる人、単身の人
家族の扶養収入130万円未満の見込みの人

選び方のフロー

1. まず「扶養に入れるか」を確認

2. 入れるなら扶養(保険料0円)

3. 入れないなら、任意継続と国保を比較

4. 窓口で保険料を試算してもらう

5. 安い方を選ぶ

手続きの期限

・任意継続:退職日の翌日から20日以内

・国保:退職日の翌日から14日以内

期限を過ぎると選択肢が狭まります。退職前に検討を始めておきましょう。

今日からやるべきこと

1. 扶養に入れるか配偶者・親に確認

2. 任意継続の保険料を健保組合に確認

3. 国保の保険料を市区町村に確認

4. 3つを比較して、最適な選択肢を決める

退職手続きの流れ|円満退職のための完全ガイド

コメント

タイトルとURLをコピーしました