「退職したいけど、どう伝えればいいんだろう…」
「上司に言いづらい…引き止められたらどうしよう…」
そんな不安を抱えていませんか?
実は、退職の「伝え方」と「タイミング」を間違えると、円満退職が難しくなります。
逆に、正しい方法で伝えれば、トラブルなく、気持ちよく次のステップに進める。
この記事では、上司への退職の伝え方、タイミング、引き止められたときの対処法まで、円満退職のすべてを解説します。
【データ】退職時のトラブル実態
まず、退職時のトラブルがどれくらい起きているか見てみましょう。
| 調査内容 | 割合 |
|---|---|
| 退職時に何らかのトラブルがあった | 約25% |
| 引き止めにあった | 約50% |
| 退職日を延ばされた | 約20% |
| 有給消化を拒否された | 約15% |
(出典:エン・ジャパン「退職に関するアンケート調査」2023年)
4人に1人が退職時にトラブルを経験しています。
だからこそ、正しい伝え方とタイミングが重要なんです。
【体験談】円満退職できた人・できなかった人
Aさん(32歳女性・事務職):円満退職できたケース
Aさんは退職を決意してから2ヶ月前に上司に報告。「次が決まっている」とは言わず、「一身上の都合」で伝えました。引き継ぎ資料を丁寧に作成し、最終日まで責任を持って業務を遂行。退職後も前職の同僚とは良好な関係を保っています。
Bさん(28歳男性・営業職):トラブルになったケース
Bさんは退職2週間前に突然報告。「来月から新しい会社に行きます」と伝えたところ、上司は激怒。引き継ぎも不十分なまま退職し、元同僚からは「無責任」と言われる結果に。業界内で悪い噂が広まり、転職後も気まずい思いをしています。
違いは「タイミング」と「伝え方」。この2つを押さえれば、円満退職は難しくありません。
円満退職とは?なぜ大切なのか
円満退職の定義
円満退職とは、会社・上司・同僚との良好な関係を保ったまま退職すること。
「立つ鳥跡を濁さず」という言葉の通り、最後まで誠実に対応して辞めることです。
円満退職が大切な理由
①将来、前職の人と関わる可能性がある
業界内での転職では、前職の人と取引先や同僚として再会することも。関係を壊すと、後で困ることがあります。
②転職先への影響
まれに、転職先が前職に問い合わせをすることも。悪い評判が立つとマイナスです。
③自分の気持ちの問題
後味悪く辞めると、新しいスタートを切りにくい。スッキリ辞めた方が、次に集中できます。
退職を伝えるタイミング
退職の何ヶ月前に伝える?
一般的な目安
| タイミング | 説明 |
|---|---|
| 1〜2ヶ月前 | 就業規則で定められている場合が多い |
| 2〜3ヶ月前 | 引き継ぎを丁寧に行いたい場合 |
| 最低2週間前 | 民法上の最低ライン(※推奨しない) |
ポイント
まず、就業規則を確認しましょう。
「退職の〇日前までに届け出ること」と定められている場合が多いです。
民法上は2週間前でもOKですが、円満退職を目指すなら1〜2ヶ月前に伝えるのがベスト。
退職を伝えるベストなタイミング
①繁忙期を避ける
忙しい時期に退職の話をすると、上司も余裕がなく、話がこじれやすい。
②プロジェクト終了後
大きなプロジェクトの途中で言うと、引き止めが強くなりがち。区切りの良いタイミングを選びましょう。
③月初〜月中
月末は締め作業で忙しいことが多い。月初〜月中の方が落ち着いて話せます。
退職を伝える順番
退職の報告には、正しい順番があります。
順番①:直属の上司に最初に伝える
まず、直属の上司に伝えるのが鉄則。
人事部や、上司の上司に先に言うのはNG。上司の面子を潰すことになり、関係が悪化します。
順番②:上司と相談して、周囲への伝え方を決める
上司に報告した後、「いつ、誰に、どう伝えるか」を相談しましょう。
- 同僚への報告タイミング
- 取引先への連絡方法
- 後任者への引き継ぎスケジュール
順番③:同僚・後輩に伝える
上司の了承を得てから、同僚や後輩に伝えます。
上司より先に同僚に言うと、噂が広まってトラブルの元。
順番④:取引先に伝える
後任者が決まってから、取引先に報告。
「今後は〇〇が担当させていただきます」と、スムーズに引き継ぎできるタイミングで。
上司への退職の伝え方
事前にアポイントを取る
いきなり「退職したいんですけど…」はNG。
「お時間いただきたいのですが、いつがご都合よろしいでしょうか」と、事前にアポイントを取りましょう。
NGなアプローチ
- 会議室で突然切り出す
- 他の人がいる場所で言う
- メールやチャットだけで伝える
伝える内容を整理しておく
面談の前に、以下を整理しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 退職の意思 | 「退職させていただきたい」と明確に |
| 退職理由 | ポジティブな言い方で |
| 希望退職日 | 「〇月末を目処に考えています」 |
| 引き継ぎへの姿勢 | 「しっかり引き継ぎます」 |
退職の切り出し方(例文)
基本の伝え方
「突然のお話で恐縮ですが、退職させていただきたいと考えております。
これまで大変お世話になりましたが、今後は〇〇の分野でキャリアを築きたいと考え、この決断に至りました。
〇月末を目処に退職させていただければと思っておりますが、引き継ぎの状況も考慮し、ご相談させてください」
ポイント
- まず感謝の気持ちを伝える
- 退職の意思は「明確に」
- 希望退職日は「相談ベース」で
- 引き継ぎへの誠意を示す
円満退職につながる退職理由の伝え方
本音と建前を使い分ける
たとえ本音が「人間関係が嫌」「給料が低い」でも、そのまま伝えるのはNG。
ポジティブな言い方に変換しましょう。
退職理由の言い換え例
| 本音 | 建前(ポジティブな言い換え) |
|---|---|
| 人間関係が悪い | 「新しい環境でチャレンジしたい」 |
| 給料が低い | 「より専門性を高められる環境で働きたい」 |
| 残業が多い | 「ワークライフバランスを見直したい」 |
| 仕事がつまらない | 「〇〇の分野に挑戦したい」 |
| 上司と合わない | 「新しい視点で成長したい」 |
退職理由別の例文
①キャリアアップ・スキルアップ
「これまでの経験を活かしながら、〇〇の分野でさらにスキルを磨きたいと考えております。御社では学ぶことが多くありましたが、自分の将来を考え、このタイミングで挑戦することを決めました」
②家庭の事情
「家庭の事情により、働き方を見直す必要が出てまいりました。ご迷惑をおかけしますが、〇月末での退職をお願いしたく、ご相談させてください」
③体調・健康上の理由
「体調を崩しており、医師からも休養を勧められている状況です。誠に申し訳ございませんが、一度立ち止まって療養に専念したいと考えております」
引き止められたときの対処法
退職を伝えると、引き止められることがあります。
よくある引き止めパターン
①待遇改善の提案
「給料を上げるから残ってくれ」
「希望の部署に異動させるから」
②感情に訴える
「君がいなくなると困る」
「今辞められると迷惑だ」
③時期の先延ばし
「あと半年待ってくれ」
「このプロジェクトが終わってから」
引き止めへの対処法
①感謝しつつ、意思を貫く
「お気持ちは大変ありがたいのですが、自分の中で十分に考えた上での決断です」
②条件交渉には乗らない
待遇改善を条件に残っても、一度「辞めたい」と言った事実は残ります。関係がギクシャクする可能性も。
③曖昧な態度を取らない
「考えておきます」と言うと、引き止めが長引きます。
「ありがたいお話ですが、退職の意思は変わりません」と明確に伝えましょう。
退職届・退職願の書き方
退職届と退職願の違い
| 書類 | 意味 | 用途 |
|---|---|---|
| 退職願 | 退職を「願い出る」書類 | 承認を求める |
| 退職届 | 退職を「届け出る」書類 | 意思を通知する |
多くの会社では、どちらも同じように扱われます。会社の指示に従いましょう。
退職届の例文
退職届
私儀、このたび一身上の都合により、
○年○月○日をもって退職いたしたく、
ここに届け出ます。
在職中は格別のご厚情を賜り、
誠にありがとうございました。
○年○月○日
○○部 ○○課
氏名:○○○○(印)
○○株式会社
代表取締役社長 ○○○○ 様
注意点
- 手書きが基本(会社によってはPCでもOK)
- 白い便箋に黒ボールペンで
- 退職理由は「一身上の都合」でOK
- 封筒に入れて提出
円満退職のための引き継ぎ
引き継ぎの基本
円満退職のカギは、丁寧な引き継ぎ。
「この人がいなくなっても大丈夫」と思ってもらえることが大切です。
引き継ぎで準備するもの
①業務マニュアル
日常業務の手順をまとめた資料。後任者が困らないように。
②取引先・関係者リスト
担当している取引先や、社内の関係者の連絡先リスト。
③進行中の案件リスト
現在進行中の案件の状況、次のステップ、注意点をまとめる。
④過去のトラブル事例
過去に起きたトラブルと、その対処法をまとめておくと役立つ。
引き継ぎスケジュールの目安
| 退職まで | やること |
|---|---|
| 1ヶ月前 | 引き継ぎ資料作成、後任者への説明開始 |
| 2週間前 | 後任者との並走、取引先への挨拶 |
| 1週間前 | 最終確認、残務処理 |
| 最終日 | 社内挨拶、備品返却 |
やってはいけない退職のNG行動
NG①:上司より先に同僚に言う
噂が広まり、上司の信頼を失います。必ず上司が最初。
NG②:不満をぶちまける
「この会社は〇〇がダメ」と言っても、何も良いことはありません。
NG③:引き継ぎを放棄する
「どうせ辞めるから」と引き継ぎを適当にすると、後で悪い評判が立ちます。
NG④:有給消化だけを主張する
権利として有給消化は認められますが、引き継ぎとの調整は必要。
「引き継ぎを完了させた上で、残りの有給を消化させてください」が正しい姿勢。
NG⑤:SNSで退職を報告する
正式に退職が決まるまで、SNSでの報告は控えましょう。
円満退職チェックリスト
【退職を伝える前】
- [ ] 就業規則で退職の申し出期限を確認した
- [ ] 退職理由をポジティブに言い換えた
- [ ] 希望退職日を決めた
- [ ] 上司との面談のアポイントを取った
【退職を伝えるとき】
- [ ] 直属の上司に最初に伝えた
- [ ] 感謝の気持ちを伝えた
- [ ] 退職の意思を明確に伝えた
- [ ] 引き継ぎへの誠意を示した
【退職日までに】
- [ ] 引き継ぎ資料を作成した
- [ ] 後任者に引き継ぎを行った
- [ ] 取引先に挨拶した
- [ ] 社内の関係者に挨拶した
- [ ] 備品・書類を返却した
よくある質問(FAQ)
Q1. 転職先を聞かれたら答えるべき?
A. 答える義務はありません。「まだ決まっていません」「今後検討します」とはぐらかしてもOK。特に競合他社の場合は、伝えない方が無難です。
Q2. 退職日を延ばしてほしいと言われたら?
A. 転職先の入社日に影響がなければ、ある程度は応じてもいいでしょう。ただし、「〇月〇日までが限界です」と期限を明確に伝えることが大切です。
Q3. 有給休暇は消化できる?
A. 法律上、有給休暇は労働者の権利です。ただし、引き継ぎとの調整は必要。「引き継ぎを終えた後、残りの有給を消化させてください」と伝えましょう。
Q4. 退職を撤回することはできる?
A. 法的には、会社が承諾する前であれば撤回可能です。ただし、一度「辞める」と言った後の撤回は、信頼関係に影響する可能性があります。
Q5. どうしても辞めさせてもらえない場合は?
A. 退職は労働者の権利です。民法上、2週間前に申し出れば退職できます。退職届を内容証明で送る、労働基準監督署に相談するなどの手段もあります。
まとめ
円満退職のポイントをおさらいします。
退職を伝えるタイミング
- 就業規則を確認(一般的には1〜2ヶ月前)
- 繁忙期・プロジェクト途中を避ける
退職を伝える順番
- 直属の上司
- 同僚・後輩(上司の了承後)
- 取引先(後任者決定後)
退職の伝え方
- 事前にアポイントを取る
- 感謝の気持ち+明確な意思表示
- 退職理由はポジティブに
円満退職のカギ
- 丁寧な引き継ぎ
- 最後まで誠実な対応
- 立つ鳥跡を濁さず
円満退職は、次のキャリアへの最高のスタートです。
お世話になった会社に感謝しつつ、気持ちよく次のステップに進みましょう。
あなたの転職がうまくいくことを願っています。
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